今、急速に進む地球温暖化により自然環境は大きく変わっています。日本でも降水パターンや台風の強度や発生パターンの変化が起きて予期しない災害をもたらし、生物の生息範囲が変化し、生態系のバランスが崩れています。地球温暖化の進行を止めるためにもカーボンニュートラルな社会の実現は急務です。
海の環境に目を向けると、暖かい海流である黒潮の影響を受ける地域では海水温の上昇が顕著であり、魚、海藻、サンゴの生態系に大きな変化が生じています。例えば、本来サンゴのいない海域にサンゴ礁が形成され、沖縄の魚種が本州近海で見られるようになっています。
私たちの和食文化で馴染み深い海藻、「のり」も環境変化の影響を強く受けています。「のり」といえば、おにぎりに巻かれている「海苔」を思い浮かべると思いますが、お好み焼きに使われる「青のり」や佃煮に使われる「あおさのり」もあります。これらは栄養価が高く、ミネラルやプロテインを豊富に含むスーパーフードです。
かつて四万十川で取れていた青のり(スジアオノリ)は4年連続で出荷量は0 kgです(2024年4月時点)。また、あおさのり(ヒトエグサ)や海苔(アマノリ)についても不作や品質の低下が続き、生産量の減少と価格の高騰が起きています。このままでは近い未来に食卓から「のり」が消えてしまうかもしれません。また、「のり」は成長する際にCO2を吸収し、固定する能力があり、これを活用すれば炭素循環社会・カーボンニュートラルな社会の実現に貢献できます。
そこで上記のような変化に対応するため、高知大学で研究開発された海藻の陸上養殖技術を用いて、海藻を陸上でサステナブルに養殖することで海藻資源を生産・活用していきます。私たちは2日間で最大16倍も成長する「アオノリ」(ミナミアオノリ)から、成分を抽出して新たな素材の創出に成功したことで、アオノリを石油に変わる資源として最大限に活用することを目指し、研究開発を行なっています。
陸上養殖技術を用いて「のり」を持続的に生産し、栄養価の高いスーパーフードとして提供します。これにより、健康的な生活をサポートします。さらに、大量の「アオノリ」を生産することで、CO2の固定に貢献し、これを新たなサステナブルな素材として活用します。この取り組みを通して、私たちは健康と地球環境の両方に優しい社会の創造に貢献していきます。